ソースと種
先日「今の若いもんは常識というものを知らん。料理のさしすせそどころか煮炊き物もろくに出来ん。昔の人はそんなこと無かった」というのを聞いた。
甘い。
甘すぎる。
甘々シュガーベイブである。
そら今の人でろくろく料理できない人がいるだろうが、うちのオトンが育ってきた環境を知れば「昔の人は・・・」というセリフは絶対に出てこないはずだ。
うちのオトンは一人っ子である。
しかもばあちゃん子である。
その為に過保護に育てられた。
非常に間違った方向で。
子供の頃オトンは鯖がきらいだったらしい。
まあ、子供が好きでもないか・・と思ったら、違った。
鯖は煮てからバラバラにして骨を抜いた後、油でいためて出されたそうだ。
過保護だから。
だが下味とか一切の味付けは無しで。
オトンは鯖とは油っぽだけの食い物と思っていたようだ。
うん。オトンしょうがない。
またゴボウは味が無くて、口の中が痛い喰いもんだと思っていたらしい。
叩きゴボウというゴボウを軽く叩いて煮るテクニックがあるのだが、何を思ったのか死ぬほど叩いて叩いて繊維がささくれ立って飛び出した物を、何故かさっと煮て出されてかららしい。
えっと頑張るところ逆だって逆。。
折りの弁当などは、水を入れた鍋にすべてぶち込んで醤油のみの味付けをして喰えと言われたらしい。
折りは痛んでいるからと言われたそうだ。
えっと、痛んでる物売らないだろう。普通。
もし痛んでいたとしても煮たら大丈夫なのか?
っていうか醤油だけ?出汁は?
っていうか魚も野菜も全部なんだ。。
うん。突っ込みどころが多すぎて困る。
また、果物はちゃんとした形で喰っていなかったようだ。
イチゴは種が悪いと周りを剥いてから出されていたらしい。
同じようにバナナは種があるので周りしか食べさせてもらえなかったらしい。
何処を喰うんだ、一体。
オカンが結婚してオトンにうちのカレーが美味いと聞いていたから、どんなもんだろう?と思ったら、ご飯の上にひたすら山のようなジャガイモに少しカレー味が付いたものが乗っていて、それをオトンはソースをドボドボかけて喰っていたそうな。
オカンは眼が点になったらしい。
うん、しょうがない。
最近でこそ普通にアホみたいな顔しながら普通に飯を喰っているが、ぼくの子供の頃はひたすら何にでもソースをかけていたのは、上記のような理由からだろう。
ソースが美味しい味と思っていたらしいし、それしか旨みが無かったんだろう。
恐るべき事に、上記の食事でそのまま大人になったのだ。
もちろんオトンは初めて自分で米を洗ったときには洗剤で洗った。
もう何かが激しく欠落している。
でもだ、それなりには育つわけだ。→参考
今の多少な非常識など恐れるに足らん。
昔から無茶な育ちかたしている奴はいる。
ていうかうちのオトンほど変な食事で育った奴を知らん。
昔は素晴しかったなんて、記憶が薄れただけなじゃないの?という気がしてしょうがない今日この頃である。